考えるお母さん**大学受験を見守る         

塾なしオール公立の息子が東大生になりました。考えるお母さんがこれまでの子育てを考えてポツポツと語ります

塾に行かないという少数派に属すること

 

子どもが中学生になってから、塾の話を振ってこられるのがすごく苦手でした。

 

うちの地域は、通塾率がものすごく高くて、成績上位から下位の子までほとんどの子が塾通いです。

その上、近隣塾も色々な集団塾、個別塾、大手に個人塾、交通の便のいいところなので、大手などは同じ系列でも隣の駅の教室に通ってる子もいたり(あえて同じ中学の子がいない教室を選ぶ子も)、最難関に特化した塾だったり、通塾率が高い割には同じ中学でも見事に通ってる塾がばらけていました。

そうなると親も子も、他の子はどこの塾に通っているんだろう?というのが気になるのだと思います。

 

子どもの通う中学は定期テストの順位が出ない学校でしたが、わからないと逆に子ども同士が情報を集めたりして誰が何点だったとか、学年トップは誰だとか情報が駆け巡っていたようでした。

親も自分の子どもからそういう話しを聞くようで、参観日の時など、あまり親しくない親御さんからも声かけられることも時々ありました。

「どこの塾に通ってるの?」ズバリ聞かれることもあったし、塾に行ってないことをすでに知っていて「塾に行ってないんですって?」と話しを振られる事もありました。

 

こういう時にどんな顔で何と答えるのが正解なのかよくわからないなといつも思っていました。

嘘をつくわけにもいかないので「塾は行ってなくて」というと、相手の方が「えっ…」と戸惑う表情になって、その後はお決まりの「自分で出来る子は必要ないよね。羨ましいわ」みたいなお世辞になっていきました。その時の空気がいつも嫌で、できるだけ早く別の話題に変えるようにしてました。

 

そして、いくら褒められてもそれは本心じゃないよねと思ってました。

 

塾に行ってなくて大丈夫なの?

学校の成績がいいから安心しちゃってるのね、きっと受験の知らないんだろうな、学校のテストと入試は全然違うのに、受験用の勉強してないのわかってるのかな。

「内申美人」なのに気がついてないのね、このままじゃ大変よ、塾に入れてあげればいいのに子どもがかわいそう。

面と向かって言うような人はほとんどいませんでしたが、あー、私いますごい心配されてるんだろうなと思ってました。

 

担任でさえも塾に行ってないことに驚いて、言葉に気をつけながら何かを伝えようとしてるのを感じました。

学校の成績表をみながら「あの学校を受ける子は、これぐらいの成績を取ってるのが当たり前だからね」と何度も釘を刺されました。

例え内申がオール5だとしてもそれだけじゃ受からない事わかってる?っていう感じでした。塾に行ってたらこんなことやあんなことの指導してもらえるんだけど、というような事も言われました。(なぜそれを中学でやってくれない?と思いながら聞いてましたが)塾に行きなさいって遠回しに言ってる?

 

ちなみに進研ゼミの進路相談の電話をかけた時も当たり前のように「塾はどこに通ってますか?」と聞かれ、併願の私立高校のネット出願の項目にもどこの塾に通っているか答えさせる項目がありました。

 

私は親しい友人にも自分の身内にも、試験が終わるまで子どもの受験先を言いませんでした。

聞かれても「結果が出てからどこを受けたか話すね」と答えてました。

普段の会話で塾に行ってないのはみんな知っていたし、私の勝手な想像ですが無理をしない無難な公立受験をすると思われてるだろうなと。

そんな中で、倍率がすごく高くて入るのが大変と言われてる地域の最上位校の高校の名前なんてとても言えなかったです。えっ?って顔されるのも辛いし、塾に行かなくて大丈夫なの?とズバリ言われてしまうのも嫌だし、頼むから結果が出るまで誰も聞かないでという状態でした。

 

いま思えば心配されたり、相手に不安そうな顔されたりすると、自分の中にも不安な気持ちが生まれてきそうで怖かったんだと思います。

人と違うやり方で受験しようとすると、他人の意見に動揺しない心の強さも必要でした。

中3の1年間はコロナ禍だったことで、人と会う機会が減っていたのは私のメンタルにとって良かったのかも。

 

つい数日前、たまたま会った仲のいいご近所さんに「受験どうだった?」と聞かれました。

合格した高校の名前を言うとすごくびっくりして喜んでくれました。

子どもより1学年上と1学年下の2人の子のお母さんで、中学も同じだったので受験情報もよくわかってます。

そしていつもの質問「塾はどこに通っていたの?」とすぐに聞かれました。 

 

「塾は行かなかったの」

あんなに迷いなく言えたのははじめてだったかもしれません。

結果が出てるから、もう不安そうな顔されたり、大丈夫なの?って心配されるおそれがないってこんなに答えるのが気が楽なのね。

そう言われたご近所さんの方が、私の予想外の答えに軽く混乱してて、

「えっ、そんなことってできるの?そんなことってあるの?」と意味がわからないという顔になってました。

 

いつの間に世の中は塾ありきで語られるようになってて、塾に行けない子はかわいそうみたいな流れができてる感じがします。

塾に行かないのはお金がないから、親の経済状況の悪さを語るのに「子どもを塾にも通わせてもやれない」みたいなフレーズがお決まりだし、子どもの学習環境が親の経済力で差別されてはいけないとボランティアが教える無料の学習塾があったり。(無料塾は、また違う側面も有ると思いますが)

払えるお金があるなら塾に通わせるのが当たり前、そんな風潮の中で経済的な問題は関係無いのに塾無し受験を選ぶのは少数派に属することになるので、気持ちをしっかり持ち続けるのが大変だったなと思います。

多数派と同じことをやるのは気持ち的には楽ですが、子どもの事を考えて塾なしのほうが良いと判断したので最後まで貫きました。

後悔は全くありませんが、塾に行かないという少数派に属することは、なかなか辛いものがあったなと思います。

 

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