進学を基準に考えた高校選びをする時に、その高校が持っているどんなデータに着目したらいいか、そんなお話をしたいと思います。
夏に向けて高校説明会なども始まると思いますので、高校受験生の方の参考になったらうれしいです。
高校選びをする時に、色々な条件があると思います。
自分の学力に見合う学校
通学手段、時間
校風、伝統、部活、施設、授業カリキュラム
進学実績
(地元での評判なんていうのも実は大きいかも)
高校受験はまずは偏差値ありきだと思うので、自分の模試の偏差値と高校一覧の偏差値表を見比べて、その中で少しでも偏差値の高い学校で合格の可能性のある高校を候補に入れていくというのが多いと思います。
いくら気に入った学校でも、合格しなければ通う事はできません。そのためにも偏差値データのすり合わせはとても大事です。
でも、大学進学を見据えた高校選びのをする時には、もうひとつチェックしておくべきデータがあります。
それは、その高校の「進学実績」のデータです。
ここで注意しないといけないのは、「進学実績」は「合格実績」とは違うということです。
「進学実績」は、実際にその年の卒業生がその大学に入学した人数。
「合格実績は」は、その大学に合格した延べ人数。
つまり
一人の卒業生が入学できる大学は1つ(進学実績)
一人の受験生が合格できる大学は複数(合格実績)
ということになります。
更に付け加えると、私立大の場合は、1人の受験生が1つの大学で複数学部で合格をもらうことが出来るので、合格実績欄に「〇〇大学 3人」と書いてあっても、それは延べ人数なので、実際には1人の卒業生が3つの学部に合格しているという可能性もあります。
子どもの高校の卒業生でも、1人で東大合格、慶應3学部、早稲田2学部という合格例があります。
1人の卒業生が合格実績の表の中に入ると、東大1、慶應3、早稲田2と数字化され、何も考えずにその数字だけみてしまうと6人の優秀な卒業生にみえるということです。
そして、高校がHPなどに載せているのは「進学実績」ではなく「合格実績」の方が多いのではないでしょうか。
(塾や予備校は、当然合格実績ですよね)
私立大学の合格者の数を足してみたら、実際の生徒数よりもかなり多いなんていうのもよくあるでしょう。
また合格実績には、現役生と既卒生も含まれている場合があるの、その数字がどういう数字かみることも大事です。
合格者実績だけをながめてしまうと、「そうかあの高校は、3人に1人はMARCHに合格するのか」とか「5人に1人は早慶に合格しているのか」と間違ったイメージをもってしまいます。
「5人に1人なら、上位20%に入っていれば早慶の可能性もあるな」と計算しそうですよね。200人の生徒数なら40番までに入れば可能性が、みたいに。
でも、実際は高校のトップ層の優秀な人が全勝して荒稼ぎしているというのもあるので、合格していた人は上位10人の卒業生だったみたいな。
高校の保護者向けの進路説明会に出て、実際の卒業生の合格状況を聞かせてもらう機会があるのですが、Aさんの合格例、Bさんの合格例という風に個人個人の話を聞くと、受かる人はやっぱり色々受かるし、厳しかった人は残念な結果が並ぶという印象です。
一方でその逆もあると思います。その高校から進むには、偏差値的に低い大学名の合格実績が書いてある場合も。
それを見ると「せっかく頑張って〇〇高校に入っても、××大学なのか」と思うかもしれません。
でも、これもあくまでも合格実績です。
××大学に合格していてもそれは滑り止めで受けていて、別の大学にも合格しててそちらに入学していたり、給費生や特待生試験を腕ならしのために受けて合格をもらっている場合もあると思います。
「合格実績」は、その高校が実際より上にも下にも見せてしまう可能性があります。
その高校の現状をより正確にみるためには「進学実績」をみることが大事ではないかと思います。
そう言われても、進学実績知りたいけど、学校のHPには合格実績しかのっていないしと思われた方。
この2冊チェックしてみてください。
どちらも今春の全国の高校の現役進学実績が載っています。
私は、dマガジンを契約しているので、dマガジンで両方の雑誌を読みました。
掲載されている高校や合格実績の大学は、それぞれの雑誌で違います。
(それぞれの地域に合わせた難関国立大学や私立大学の合格実績になっています)
もし、候補に挙げている高校がこの中に掲載されていたら、とても参考になると思います。
子どもの学校のデータも両方の雑誌に載っていたので、じっくりと見てみました。
高2になってから、学校の保護者会で卒業生の進路実績の一部は聞いていたのですが、学校の方でもデータの扱いが慎重なのか、書類としてはもらえていなくて、口頭ですごい早口で説明されていただけだったので、メモが取れていませんでした。
国公立の合格者数は、学校のHPに載っているので知っていたのですが、国立の〇〇大学の場合は、私立が受かっていれば私立の方を選ぶのか?みたいな疑問もあって、実際の合格者数と進学数をくらべてみると、やはりというか、難関私立に合格している場合はそちらを選んだんだろうなというような数字も見えてきました。
サンデー毎日の方は、私立の進学実績の数字の横に(合格者数)も書いてあるので、よりわかりやすかったです。
ある都立高校は、早稲田が32(152)と書いてます。
この数字から合格者実績は152人だけど、早稲田に進学した卒業生は32人だったのだとわかります。
152人から減ってしまった数字は、東大など国公立へ行ったのかもしれないし、慶應に進んだのかもしれないし、1人の人の複数学部で合格のカウントも含まれているし、早稲田に合格したけど来年別の大学の再挑戦かもしれません。
今後1,2年で進学実績を伸ばす高校もあるし、逆に落とす高校もあるでしょう。
大学受験の方式も、一般入試だけでなく総合選抜や学校型推薦などもあるので、それぞれの高校の特徴なんかもあると思います。
もちろん、この実績がそのまま自分の学年に通じるものではないですが、それでもひとつの目安として使えると思います。(高校生の親の私にもとても参考になる数字でした)
高校受験を考えた時に、まずは入り口である高校の偏差値の数字に捉われがちですが、高校卒業時の出口の数字にも着目してみると、その高校に別のイメージを持つかもしれません。