今年も残り10日ほどですね。月日の経つのは本当に早いものです。
受験生の方々は緊張が高まってきている時期ですね。
もうこの時期ですから受験校を決めている方も多いとは思いますが、年明けの模試の結果まで悩む方もいらっしゃるでしょうね。
今日は、受験生が今の時期にもう一度考えておいた方がいいことについて書いてみようと思います。特に勉強が大変だと言われてる難関校を目指している方に。
以前こんな記事を書きました。
この時にも書いたのですが、受験はゴールではなくスタートです。
こんな言葉、世の中にはいっぱい転がっていて、就職や結婚などでもよくつかわれるありふれた言い回しです。でも、高校受験直前のこの時期に、もう一度この言葉の意味をしっかりと考えておくといいと思います。
高校受験の渦の中に巻き込まれていると時間の経過とともにどんどん色々なことが加速していきます。最初はあの学校のこんなところがいいなとか、その学校の高校生活を思い浮かべて憧れていたりしたのに、受験勉強を進めていくうちに気がつけばその高校に合格することばかり考えていて、いつの間にか入学した後の事をイメージしなくなっていたりします。特に、偏差値と見比べながら学校をじわりじわりとあげてきた子にとっては、もう少し上、もう少し上と、どの受験校まで届くかそれが目標になってきた子もいるでしょう。
しかし、合格だけを目標にこの最後の時期を走り切ってしまうと、合格した瞬間に達成感を味わってしまい燃え尽き症候群になってしまう危険性があります。
そんな風にならないためにももう一度、「高校受験はゴールではない、合格した高校のスタートラインに立つ資格を得るためのもの」そういう気持ちで最終決定する志望校のことを考えるのが大事だと思います。
わかっているけど今はとにかく受験だから合格だけ考えていればいいのでは?と思われるかもしれませんが、実際に高校生になってみると、この時期の心の持ちようで入学後が変わってくると感じてます。
受験が終わったら何しようかな?と考えるのは、苦しい受験生にとって希望を感じることだと思います。この時にゲームを思い切りやりたいとか、友だちと遊びに行こうとか、家族で旅行しようとか、そういう終わった後の楽しみを考えるのはいいことです。
しかし受験が終わったら勉強から解放される、そのことだけが頭にある受験生は気をつけた方がいいかもしれません。もちろん受験が終わったら、しばし勉強から離れたりしてリフレッシュするのは大事なことです。でも、そもそも受験というのは、高校というもっと難しい勉強をするところに入るための資格を得る試験なのです。
ということは、
(合格する)=(これから勉強する)
ことなのです。
(合格する)=(勉強から解放される)
では決してないのです。
今は多くの高校が合格者に入学前の宿題を出すと思います。
子どもの学校もそうでした。
合格してすぐ入学者説明会がありそこで課題の説明がされます。教科書や教材が届けばすぐに山のような課題にとりかからなければいけません。
受験が終わってすぐは休んでも大丈夫なのですが、この課題が出たタイミングでしっかりと走り始める気力がないと高校に入ってからが本当に大変なのです。
なぜなら、この入学前課題を軽く考えていて、まだ入学式もやってないし勉強は入学式が終わって授業が始まったら頑張ろうなんて思ってると完全に取り残されてしまうからです。
子どもの場合、入学前の課題はすべて高校範囲の予習でした。中学の総復習的なものは何も無かったです。
入学直後は、課題範囲のテストがあります。順位こそでませんが、各科目、平均点は何点、最高点は何点、最低点が出て、友だちになったばかりの子たちと自分の点を比べたりします。もうこの時点で、この高校における自分の立ち位置みたいなものを感じてしまいます。(この入学直後の立ち位置やその時に感じた気持ちというのは、その後の高校生活にとても大事です)
そして驚いたことに数学は、入学前の課題でやらされた範囲は授業は全くやらずに定期テストに出ていたそうで、後から考えてみればそこの単元は課題の自学だけで終了となっていたそうです。
つまり入学前課題をサボると、高校の勉強の最初の部分は欠けてしまうし、周りに取り残されている感をもってしまい、スタートに失敗したことに気がついて最初から焦るか下手したらもうダメかもしれないとあきらめムードになってしまうことも。
子どもはどうだったかというと、受験が終わってすぐ合格発表もまだのうちからスタサプで高校範囲の数学の予習を始めました。その後、一旦立ち止まって勉強をやすみましたが、高校の入学前の課題が届いてからは1日5時間ぐらい勉強していました。もう1度受験勉強が始まったのかと思うほど集中してやっていました。
そのお陰で子どもはいいスタートが切れました。
周りがすごくできるからと劣等感を抱くこともなく、この中でやっていけるというような自信を最初に持てたと思います。最初に自分が感じた立ち位置、これは後々まで影響するので本当に大事です。
子どもがなぜこんな風にいい滑り出しだったのか?
それはやっぱり受験をスタートと捉えていたからだと思います。
去年の受験前のこの時期も、「受験が終わったら高校の数学の予習した方がいいよね。何を使ったらいいかな」とか「英語は、公立の高校受験の勉強だけだと単語力が弱いから、受験終わったら何か単語帳1冊やろうかな」とか。受験終わった後の勉強のことを時々話してました。
足元の受験だけでなく、目線をあげて高校に入学した後をみようとしていたので受験で燃え尽きることなくしっかりとスタートラインに立てました。受験のことだけしか頭になかったら、受験が終わったらただただ解放感を味わおうと思っていたかもしれません。
受験生の今の時期に、受験に対してどんな視点をもつか、高校のスタートラインに立つんだという気持ちをもう一度確認しておくだけで、受験を終えた後に高校に向かう気持ちの整え方が違ってくるのではないかと思うのです。
(おまけの話)
この記事を書こうと思ったきっかけの話です。
お時間がある方はどうぞ。
子どもの同級生が少し前に学校を去りました。
その子は入学してすぐに友だちになった子で、子どももその子が辞めてしまったことにかなりショックを受けていました。
その子は、友だち関係においては全く問題なかったようで、性格も穏やかでやさしくて沢山の友だちに囲まれていて部活もやっていたようです。ただ入学後直後から成績が良くなくて、最初の定期テストはクラスの下から2番目だったそうです。本人は笑いながら成績を友だちにみせていたようですが。
その後の小テストも夏休み明けの定期テストでもあまり成績は良くなく、ちょうど大量の課題が課せられる1年生の中で一番山場となる秋に、ぴたりと学校にこなくなったそうです。
実は、私はその子のお母さんと30分ぐらいおしゃべりしたことがあるのです。学校でたまたま隣り合わせた時になんだかとっても話のしやすい方で、初めて会ったというのに話が盛り上がって色々とお互いの子どもの話をしました。
その時話したことを思い出してみると、最初はこの高校は志望校では無かったけど塾に通っていたらいつの間にかこの高校を受験するという流れになっていて気がついたらこの高校という感じだった、入学してからついていけるのか心配しているというようなことを言われていました。
また同じ中学から入学した子はいないとも言われてたので、おそらくその子は中学では学年トップの成績を取っていたのじゃないかと思います。そんないい成績をとっていた子が、高校に入って下から2番目。友だちの前で笑っていても、けっして心の中では笑えていなかったと思います。
その子がどれぐらいの意気込みでこの高校を受けたのかはわかりませんが、模試の偏差値があがったから塾にもっと上の高校に挑戦できると勧められたんだろうというのは、お母さんの話しから想像できます。本人はどれぐらいこの高校に通う自分がイメージができていたのか。
実は、子どもの学校こういう風に受験してくる子案外いるのです。
本当は家から近い上位校受けるつもりだった。でも塾はすすめてくるし、親はその気になって少しでも上の学校に行った方がいいって説得してくるしみたいな話。
(子どもの通っている高校は、大手塾数社が合格実績を競いしのぎを削っている学校なので、見込みがある子はかなり塾から押される、または特攻させられるという噂があります)
もちろん高い倍率をのりこえて合格を勝ち取ってきた子達ですから、受験した理由はどうあれ実力はしっかりある子たちなので多くの子は入ってしまえばあとなんとかなります。
でも、頑張れなくなってしまう子もいるのも確かです。
辞めてしまった同級生の子、元々志望していた高校を選んでいたらこんな風にはならなかったかもしれません。なんだか色々考えさせられました。
そんなことを思って、前にも書きましたがもう一度、受験はゴールじゃなくてスタートという記事をかいてみました。